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2026.01.26 - 2026.02.01
関根大樹
Polymorphism


雨風から身を守るために人は住居を作った、とも言えますし、海へとたどり着くために川の水は低い方へ流れる、と言ってもよいし、高い木の葉を食べるためにキリンの首は長くなった、とも言いうる。
一番目は適切な文です。意思を持った主体が目的にむけて行為することについて「ために」と表現しています。第二の例は修辞的です。水は無生物であり、低さへと向かうのは物理法則によるもので、あたかも目的をもって動いているかのように語るのは、擬人化です。三つ目は問題含みです。ここで意思を持ち目的に向かって行為しているのは誰でしょうか。一頭のシバテリウムが、もっと首が長ければ便利だな、と強く念じた結果として進化したかのようです。あるいは、突然変異と自然淘汰による辛抱強いプロセスを、擬人化しているのかもしれません。それとも、何か神秘的な力が多世代にわたる繁殖と遺伝を操っているのでしょうか。
都市は人が作りました。いくらか無計画であったとしても、多数の食い違う思惑が入り組んだとしても、一応は意図的に構築された。そこに、劣化と破損が、気まぐれと思いつきが、衝突と迂回が、積み重なっていきます。その総体が生き物のような街なのだと考えるなら、写真は都市の考古学であるよりも、遺伝学であるかもしれません。つまり路上でサンプリングされたこれらは過去の痕跡であるだけでなく、個別的な意識の総和を超える何かに導かれるようにして生成変化し続ける流れや淀みの、ある瞬間を削り出した断面図です。

関根大樹「

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プロフィール:
関根 大樹
Daiju Sekine

夜の写真学校 28期修了
https://skenographia.net/

2024年 個展「North by Northwest」Place M
2020年 個展「Wandering Nature」エプサイト
2018年 個展「反遠近法 <contra-perspective>」ニコンサロン銀座・大阪
2018年 グループ展「Young Portfolio 2017」清里フォトアートミュージアム
2015年 個展「このようにして無限に進む」Place M