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2024.07.15 - 2024.07.21
関根大樹
North by Northwest


バリ島の踊り子は、方位が分からないと踊れなくなることがあると言います。車に乗せられ、曲がりくねった道を通って知らない場所へ連れて行かれると、遠く望む山の形などから東西南北の方角を読み取るまでは、うまく踊れないというのです。これは奇妙なことに見えます。踊りのような動作をするだけであれば、相対的な位置、今立っている所から右へ一歩踏み込むとか、相手がいるなら向かい合ってお辞儀をするとか、そのような関係性を把握できれば事足りるはずです。私たちは北がどちらか知らなくても歯を磨けるし、郵便局まで歩いていけるし、三角関数を解くことができます。必要な範囲での相対的な方向さえ分ればよいのです。中間的な領域を一足飛びにして方位を参照するのは、宗教的な信念や呪術的な迷妄にすぎないように思えます。でも、絶対的な座標軸がわからないと(あるいは少なくとも誰かがそれを知っている、と信じていないと)、私たちだってなんだか不安にならないでしょうか?

タイトルがこの映画の全体を象徴している …コンパスには“north by northwest”などというものは存在しない。

と監督のアルフレッド・ヒッチコックが語っている通り、『北北西に進路を取れ』という邦題は誤訳です。北北西は実在するので、無理やり訳すなら「北微北西」とでもすべきでしょう。昔見た映画の内容をろくに覚えていないのですが、主人公が「North by northwestに進路を取れ!」と叫ぶシーンは多分ありませんでしたし、今回の展示も、半世紀以上前のスリラー映画やバリ島のダンスとは、特に関係ありません。

関根大樹「

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夜の写真学校 28期修了
https://skenographia.net/

2020年 個展「Wandering Nature」エプサイト
2018年 個展「反遠近法 <contra-perspective>」ニコンサロン銀座・大阪
2018年 グループ展「Young Portfolio 2017」清里フォトアートミュージアム
2015年 個展「このようにして無限に進む」Place M