2023.04.17 - 2023.04.23
マッシミリアーノ・カメリーニ
Al di là dell'acqua
この度、イタリア文化会館と駐日イタリア大使館の協力のもと、マヌエラ・デ・レオナルディスのキュレーションによるマッシミリアーノ・カメリーニの写真展「Al di là dell'acqua (アル ディ ラ デッラックア)」が、新宿の歴史あるフォトギャラリーPlace Mにおいて日本で初めて開催されます。本展では、2012年から2016年にかけて撮影された、モノクロ写真15点が展示されます。
そこには、旅は限りない発見への欲求である、というテーマが、彼特有のスタイルで緻密に計算された世界観の中で表現されています。
カメリーニは実存主義を第一に考え、旅の比喩的なスタイルとして貨物船に乗り込み、船上で繰り広げられる生活を描きながら、舷窓から見える海のはるか遠く、単に地理的な意味だけではない目的地を見つめているのです。
この二面性は、アレッサンドロ・バリッコの文学作品『ノヴェチェント』(後にジュゼッペ・トルナトーレ監督により映画化、『海の上のピアニストの伝説』に改題)に通ずるものがあります。主人公は陸上よりも船上の生活を好み、常にどんな時でも、発見という無限の夢に向かって突き動かされているのです。
双眼鏡、廊下の時計、洗濯機、体操器具、舵、制御盤、電子機器など、日常的に使用するものが写真に写り込むことで、被写体と場所や空間が物理的にも精神的にも密接に結びついていることが浮き彫りになります。そこは新しい乗組員のための空間であると同時に、同じ航海を共にする様々な文化や民族の象徴を表す普遍的な場所でもあるのです。
写真展「Al di là dell'acqua」は、アンドレア・ティンターリ(写真評論家)、ファビオ・デイ(人類学者)、ドナテロ・ベローモ(作家)によって執筆され、同名の書籍としてもイタリア語と英語で出版されています(2017年グレタズブックより出版)。この企画は、リグーリア州、ジェノバ市、ジェノバ商工会議所、王立写真協会イタリア支部、ジェノバ大学海事・海軍史研究室(DAFIST:古代・哲学・歴史学科)の後援や、Mu.Ma(ムー)、MA - Museums of the Sea and Migration (ジェノバ)、the Association Promoting Museums of the Sea and Navigationの協力により実現しました。
また、写真展は、パルマのBAG Gallery、ジェノバのMuseoteatro della Commenda di PrèではMu.MA - Musei del Mare e delle Migrazioniと共同で、さらにローマのBrick Lane Gallery、Leica Gallery、PCP-Perthなどでも公開されました。
今回、日本では記念すべき初めてのエキシビションとなります。ぜひカメリーニの世界観を、ギャラリーにてご鑑賞ください。
協力 / 駐日イタリア大使館・イタリア文化会館 東京
協賛:Fotofabbrica, Integra Fragrances, Bird & Bird, Studio Legale Terrano, MuMA (Genova)
Biography/マッシミリアーノ・カメッリーニ
1964年ヴェネツィア生まれ。活動拠点は、レッジョ・エミリアとミラノ。1990年代には研究写真に取り組み、2001年からは普遍的なテーマに特化した作品のシリーズと、それらの編集プロジェクトを立ち上げました。最初のシリーズは人間の本能と夢をテーマに、Beyond the Cages (2001), I Volanti (2004), Duel (2006), New Arenas (2009), The Laboratory of Obsession (2010), 6pm, the time is over (2012) Beyond the Water (2016) と続き、最後のプロジェクトは未完のa ribbon and a prayer (2022)。そして次なるシリーズ「Fragments in Time」は、都市コンテクストの進化を人類学的に調査するための時空間的なシグナルを、現代の現実に探し求めています。「Tram-Frame」が、このシリーズの最初の作品です。
彼の写真は、ヒューストン美術館(アメリカ)、マラモッティ美術館(レッジョ・エミリア)、Galerie Municipale du Chateau d'Eau(トゥールーズ)、ストラスブール美術館(フランス)、写真美術館(ソウル)、Fondazione Sandretto Re Rebaudengo(トリノ)など、世界各地の美術館に所蔵されています。