2023.03.27 - 2023.04.02
髙村啓子
Urban buoyancy
子供の頃、影踏みをして遊んだ記憶がある。
影を踏まれた友達が、次は誰かの影を踏むために皆を追いかける。
踏まれた時の、身動きが取れない痙攣したような一瞬の感覚。
自分の存在の不確かさを認識する瞬間。
記憶の底にフラッシュバックする。
都市の影を追いかけてみた。
影踏みをしているかのように。
白昼の都市に光が射し込み至る所に影ができる。
影は写真のようなものだ。
影も写真も三次元を二次元に変換する。
望遠鏡を覗くようにそこに広がるのは平面の世界だ。
都市はメタボリズムを繰り返し変容していく。
その影の中に二次元の都市が浮上する。
過去と未来を錯綜する時間が浮かび上がる。
都市の影には浮力が働き、都市の揺らぎが見える。
(展示のプリントは暗室での銀塩プリントです)