2024.11.18 - 2024.11.24
村越としや
こぼれ落ちる言葉はやがて海に還る
写真家は仄暗い海に目を凝らし、潮風に乗って水平線の彼方にある常世から聞こえてくる叫びや囁きに耳をすませる。「こぼれ落ちる言葉」は死者たちの発する声だろうか、それとも渾沌たる乱流を生きる私たちの嘆きの言葉だろうか。村越にとってこの海を撮ることは、渾然一体となって海に蠢く言葉を聴き、乱流のさきにある地を見つけるための儀式である。
(キュレーター、写真研究者 小髙 美穂)
写真集『こぼれ落ちる言葉はやがて海に還る』への
寄稿文、「海の彼方にある地へ」より