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2010.06.28-07.04

野村昌平 Nomura Shohhei

気付かぬまま

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 今回の展示作品はこの4年間に撮影したものが中心で、撮影場所は東京近郊が多い。特別なテーマを設けずに、好奇心のままに楽しんで撮影した。このような撮影スタイルを守ることによって、「被写体が持つ魅力」と「撮影時の気分」を記録することができると思っている。
 暗室作業においては、長年愛用しているカメラの精度の狂いやレンズの劣化などを印画紙に焼き付けて気ままな考察をしている。自分の感情の揺れと重なるものをそこに見出したことが契機となった。被写体は印画紙上で変容し、思わぬ驚きと発見をもたらすことがある。作品として完成に向かう達成感にはまだ遠く、視点の定まらない不安定さがついてまわるのだが、ときどき特別な表情を見せる作品が、変化の過程で躍り出てくれればそれで良しとしている。これからも好奇心を拠り所に、表現に至る道筋を探り続けたい。
野村昌平  2010.6.15   

野村昌平 のむら・しょうへい

1965年 神奈川県生まれ
1989年 日本大学芸術学部美術学科卒業
2002年 写真展「遠廻り」プレイスM
2005年 写真展「秘密の午後」新宿ニコンサロン
2006年 写真展「bitter sweet」 プレイスM

ミニギャラリー Mini Gallery

世羅拓人 Sera Takuto

決別

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 これまでの自分の写真が空々しくなり、撮っても撮っても埒が明かない日々が続いていた。それはもう自分の力ではどうしようもない所まできていたのだろう。 今覚えば「こうすれば写真は良くなる。こうでなければならない」などと思い上がっていたのかもしれない。そんな今までの全てが嫌になってしまった。
 今回撮り下ろした作品は今まで縁が無かったカメラやレンズを使っている。 その所為なのか撮っている時に、撮る対象やカメラに自分自身が引っ張られている感覚を覚え、自分の意志に反してシャッターを押している気がしてならなかった。 そんな感覚を覚えたのは始めての事であり、ある意味とても清々しく、自分の考えが及ばない瞬間が来る事が好きになっていった。
  写真自体は人ばかりを撮っている。しかも顔が無い人たちばかりだ。特に意識してそうした訳では無かった。 僕としては人の表情や仕草よりも、その人がいる場所や時間や空気に対して何か感じているのかもしれない。 だがここであまり自分の内面のことを考え言及したくはない。何故ならまた元の木阿弥にりそうな気がして不安になるからだ。

世羅拓人 せら・たくと

1983年 東京生まれ
2006年度 立正大学文学部哲学科卒業

2010年4月 PLACE M 「笑う眼」 

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