2011.10.31-11.11.6

次々に打ち寄せる波。それは常に計画された偶然と言える。
それにもかかわらず、僕はその偶然に驚かされてばかりいる。
一つ一つの波がそれぞれの物語を持って僕の眼の前に現れ、消えていく。
この波はどこで産まれ、どこからやってきたのか。
そんなことに思いを巡らせていると、彼らがここまで巡ってきたそれぞれの物語の最後の姿を留めてみたいと思った。

新宿を撮影し重ねた。
誰もが知る様に、この街には昼の顔と夜の顔がある。
どちらが本当の顔というべきか？

朝から夕の、昼間の光で新宿を追いつづけた。

撮影の間、また、プリントの間、こんな事を思った、
『撮影の数時間、
写されるべき瞬間の数は、どれほどに及ぶのか？』
京でも垓でも足りない数に違いない。
自分はそのいくつを掬えたのか
それでもいくつかは捉えたとも思う。

威圧するビル群の連続、
少し入った所には尋常な住宅街。
この街は結界で閉じられていない。

8月25日、新宿アルタ前、
そこに突然、白い壁が建て巡らされた。