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2022.10.31 - 2022.11.06
久野 梨沙
東京樹憶


2018年から2021年の間に、都内で撮影した樹木の写真です。
住宅街を歩いていると、長樹齢の樹木が所々に存在していることに気付きました。
家と家の隙間で目一杯に枝や幹を伸ばし、その場所にあった形状に身を捩り、家の前に佇む樹々の姿がありました。
樹木たちは陽の光や季節に応じて表情を変え、時折枝葉を整理され、日々少しずつ成長し移ろいゆく様は、確かな生を感じさせるものでした。
姿かたちそのものが各々の個性を現わしているようで、まるでその家の一員、あるいは街の住人のようにも見えました。

一方、東京の街の変化は早く、撮影当初も限定的だった樹木はますます減少し、撮影期間中においても、いくつもの樹木がなくなりました。
その場所には空虚な空間が残され、あるいは跡形もなく家と共に消え去り、新しい風景が形成されていました。

これは東京の消えていく風景の一つであり、樹木に対する親しみや、樹木が存在する街が失われていくことの哀愁といった、私的記憶を残すものです。

本作品を発展させた「東京樹録」を、2023年1月に新宿ニコンサロンで展示します。

久野 梨沙「

久野 梨沙「

久野 梨沙「


■プロフィール
1987年 愛知県生まれ
<展示>
・2015年個展 around here(PLACE M)
・2016年個展 SURFACE(新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)
<収蔵>
・2021年、2022年 清里フォトアートミュージアム