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2017.7.3-7.9
石川公子 Kimiko Ishikawa
常世
なぜ生きていなければならないのか、なぜ朝が来たら目を覚まさなければならないのか。幼い頃、どうしようもなく苦しくなった時、私は山を登りました。登れば、ここではないどこか違う世界へ行けると信じていたのです。それは、誰に教わったわけでもありませんが、一種の信仰にも近い行いでした。
大人になり、山に囲まれた故郷を飛び出して様々な場所に住むようになっても閉塞感や空虚さは消えることなく、胸の一角を占拠し続けていました。
また山に登ってみたら何か変わるだろうか。そう思い、カメラを携えて故郷の山に戻り、写真を撮り続けました。そうして、幼い頃行けると感じていたあの世界の鱗片を確かに掴むことができました。
私は、生きることとは何か、言葉にできないその答えをもらっていたのです。生も死も隣り合わせのあの場所で、永遠に存在し続ける常世をフィルム越しに見ていました。
1992年 長野県茅野市に生まれる。
2015年 東海大学教養学部国際学科卒業
2017年 東京ビジュアルアーツ卒業、卒業製作グランプリ受賞
現在代官山スタジオに勤務。
ミニギャラリー Mini Gallery
同上
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