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2017.3.6-3.12
張 凱翔 KaiHsiang Chang
東京サーカス
僕はどこにでもいる平凡な専門学生。
そんな僕の周りで最近、変なことが起きた。
今日はその話をしようと思う。
某日。東京のとある街中で僕がカメラを構えて小さな窓を覗くと、突然、ぐにゃりと空間が歪んだのだ。
やがて僕の肉体は薄れて小さな影となり、横断歩道は銀河へと姿を変える。そこに影の列車が現れ、光の乗務員が僕を列車に乗せて異空間へ連れ出した。
その先で僕が目にしたのは奇天烈(キテレツ)な光景だった。
空に浮かぶ蜘蛛、地面に潜り込んで掃除する人、カメレオンの如く周りになじむ能力者。さらには子供が車を動かし、ポスターに閉じ込められた住人は伸び伸びと動き、巨人と小人が共存している。
実に奇妙ではあるが、数々の曲芸を見せられているようで愉快な気分になった。この光景は、さながらサーカスのようだった。
しばらく演目を楽しんでいると、突然「不安」「抑圧」という影が僕を追いかけてきた。
それを見て恐ろしくなり逃げ出したくなった僕は一目散に走り出した。しかし、いくら走ってもその影は僕を追い掛けてくる。
「もう駄目だ」
そう思った時、ギィィィィィィーーと、なにかが軋むような音がした。すると再び空間が、ぐにゃりと歪み、気がつくと、いつの間にか現実の世界に戻っていた。
あたりを見渡せば東京だ。いつもの街並である。
一体あれはなんだったのか。
ふと手元にあったカメラを見てみると電池が切れていた。
ミニギャラリー Mini Gallery
同上
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