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2016.9.19-9.25
山口保 Tamotsu Yamaguchi
足尾で撮る
2004年~2009年、2015年に足尾に都合30回近く泊を伴う撮影行をした。過去の足尾に壊滅的な環境破壊があったことは周知の事実であるが、現在、足尾の自然は数十年に亘る人々の営々とした努力もあり、緩やかに再生の時を迎えている。不注意な人が見たら足尾の春、夏に限っては日本の他の渓谷とあまり変わらない様相に見えるに違いない。
私が、足尾で写真を撮った理由としては、巨大な産業が操業を終焉した後の、渓谷全体を満たす寂寞とした雰囲気や、ある種の空虚感に妙に魅かれたこと。それからあたりまえの風景として在る、今は清流と化した水の流れや、活着しはじめた草木や、山の崩れ、そして触れたくなるような岩盤や岩に、私の琴線に触れる多くのものを感じた事。そうしたことが足尾に何度も足をはこんだ大きな理由である。
私の写真は公害を告発するためのそれではない。しかし撮影した結果の写真のプリントを今つくづく見返すと、かつての惨劇の傷痕もまるでレイヤーのように透けて見える気がする。
ミニギャラリー Mini Gallery
同上
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