2012.06.11-06.17

多摩川をなぞる様に歩いてきたこの数年の間に景色は随分と移ろっていった。だけど、写真を見ればその時の事を思い出す事が出来る。あの人と話した言葉、あの時に嗅いだ匂いや日差しの角度。人の表情の様にコロコロと変わっていく岸の形を私は覚えている。

数年前の私の撮影雑感にはこう書かれていた。

”人の手によって変わっていく様相を自然が徐々に、時に激しく変えていく。それを人はより強固に変えていく。人の成す事と自然の成す事が織りなすその最中に見えてくる時間的空間に出会う事が幸せだ。”

神が居るだの居ないだのと僧侶と話した記憶だけは何故か鮮明に残っている。僧侶は最後に”私の祭壇に金を置いていけ”と言った。